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メトキサミンのまめちしき

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 現在は販売中止となっている、α1受容体刺激薬のメトキサミン。

過去には、頻脈や麻酔時における血圧低下に使用されていたようです。

 

薬剤師国家試験の過去問に出題されている薬剤なので、今回は記載いたします。

 

基本的な薬効・適応

 

 

α1受容体刺激薬。

 

  • α₁受容体に直接作用し、末梢血管抵抗を増大させる
  • 直接心刺激作用は少なく、蓄積などに要る副作用も少ない
  • 現在は使用されていない

 

適応として

  • 麻酔時に随伴する低血圧状態
  • 発作性上室頻拍

に使用されていました。 

 

機序は不明だが、心筋収縮を抑制する効果がある 

 ウサギの心筋において心筋収縮を抑制することが報告されている。明確な機序は不明であるが、心筋の陽性変力作用を濃度依存性に抑制することが推定されている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo1969/27/Supplement2/27_16/_article/-char/ja/

 

補足資料

 

添付文書

http://www.asahikawa-med.ac.jp/hospital/pharmacy/db/medis/2/2160401A1029.html

 

インタビューフォーム

http://www.nippon-shinyaku.co.jp/assets/files/pdfs/medicine/product/ma/mexan/interview_mexan_0707.pdf

 

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ミドドリンのまめちしき

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低血圧に使用する、α1受容体刺激薬のミトドリン。

実は、ミトドリンはプロドラッグであり、体内で活性代謝物となって薬効を示します。

 

プロドラッグの構造はどうなっているのでしょうか。

それでは、ミトドリンのまめちしきをご紹介していきます。

 

基本的な薬効・適応

 

α1受容体刺激薬。

 

・交感神経のα₁受容体を刺激し、血管平滑筋を収縮させて血圧を上昇させる

・体内で活性体となって末梢血管を収縮させる

 

適応として 

・本態性低血圧

・起立性低血圧

に使用されます。

 

プロドラッグの構造

本剤は活性本体をグリシンで修飾したプロドラッグであり、投与後、肝、腎を始めとする様々な臓器で脱グリシン化されて活性本体のデスグリミドドリンとなる。投与後1時間でピークとなり、半減期は3時間である。徐々に分解されるため長時間作用し、COMTにも分解されない。

参照:ミドドリン塩酸塩錠(インタビューフォーム)

アミノ酸グリシンをつけることにより、吸収を良くしているようです。

また、カテコール骨格を持たないため、COMTでの代謝も受けません。

  

適応の本態性低血圧について

病気ではなく、体質的に血圧が低いことです。

参照:http://www.skincare-univ.com/article/013488/

 

補足資料

 

添付文書

http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2160002F1095_2_03/

 

インタビューフォーム

https://www.ohara-ch.co.jp/appendix/pdf/inc07/midodrine-IF.pdf

 

同じ薬効の薬

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フェニレフリンのまめちしき

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ショック時の注射や、点眼剤に使用されるα1受容体刺激薬のフェニレフレン。

 

局所麻酔薬の効果を高めるための注射剤としても使用されています。

点眼薬としては、主に散瞳を目的とした使い方のようです。

 

それでは、フェニレフレンのまめちしきをご紹介していきます。

 

基本的な薬効・適応

 

α1受容体刺激薬。

 

神経終末への取り込みがなく、COMT(カテコール-O-メチル転移酵素)による代謝を受けないため、末梢血管などに対して持続的で強力な血管収縮作用を示す 瞳孔散大筋収縮による散大作用を示す。

 

適応としては

  • 各種疾患もしくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療(注射)
  • 診療又は治療を目的とする散瞳(点眼)
  • 局所麻酔時の作用延長(注射)

 がある。

 

フェニレフレンとアセトアミノフェンの併用は注意

 論文の中ではフェニレフリンにアセトアミノフェンを混合服用した場合と、フェニレフリンのみ服用した場合について検討したところ、最高血中濃度は単剤の4倍、AUCは2倍に変化していた。

参照:http://jamasakura.seesaa.net/article/422355320.html

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc1313942

http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00228-015-1876-1

 

フェニレフレンとアセトアミノフェンの併用により、フェニレフレンの血中濃度が上昇するようです。この2剤の併用は注意ですね。

 

構造式からの特徴

アドレナリンのパラ位の水酸基を1つ抜いた形をとる。その結果、アドレナリンやノルアドレナリンと比べて心臓に対する作用が弱くなったが、強力な血管収縮作用を得た。

参照:ネオシネジンコーワ注 インタビューフォーム

http://www.kowa-souyaku.co.jp/upload/item/30/1-pi_082.pdf

 

この水酸基が抜けた事により、COMTによる代謝も受けないため、作用時間は長くなっています。さらに、心臓の作用が弱くなり、血管に対する作用が強くなったということは、β作用より、α作用優位になっていることを表しています。 

 

散瞳検査にも使用します

フェニレフレンは、眼球の内側の状態の検査薬としても使用されます。

参照:http://www.eonet.ne.jp/~matsumotoganka/mydri.htm

 

局所麻酔薬の作用延長目的でも使用される 

合成局所麻酔薬の多くは血管拡張作用を有するため、作用持続時間の短縮をきたす。そこで、局所での薬物吸収を阻止し、作用時間の延長と局所麻酔薬の吸収による副作用防止の目的のため、血管収縮薬であるフェニレフリン等が添加される。

参照:http://www-yaku.meijo-u.ac.jp/Research/Laboratory/chem_pharm/mhiramt/EText/Pharmacol/Pharm-II02-8.html

 局所麻酔薬の血管拡張作用に対し、血管収縮剤のフェニレフレンを使用するようです。

これにより、局所麻酔薬の作用時間が延長します。 

 

補足資料

 

添付文書:

http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1311702Q1036_1_08/

  

インタビューフォーム:

http://www.kowa-souyaku.co.jp/upload/item/30/1-pi_082.pdf

 

アメジニウムのまめちしき

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低血圧に使用する、ノルアドレナリンを増加させるアメジニウム。

 

2つの作用の

ノルアドレナリン再取り込み阻害

・MAO阻害作用

があるようです。 

 

今回は、2つの作用を持つアメジニウムのまめちしきを紹介していきます。 

 

基本的な薬効・適応

 

ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用

再取り込みを阻害するので、シナプス間隙のノルアドレナリンが増加する。

 

MAO(モノアミンオキシダーゼ)阻害作用

代謝酵素のMAOは、ノルアドレナリンの分解をする。

MAOを阻害するため、ノルアドレナリンは分解されず、増加する。

 

結論として、ノルアドレナリンが増加作用をもつ。

 

適応としては

本態性低血圧、起立性低血圧

に使用される。

 

リズミック(アメジニウム)の名前の由来 

名称の由来 “rhythm”と“music”の合成語。音楽のリズムのように rhythmical(軽やかな、調子のよい)というこ とから朝起き不良、めまい、立ちくらみなどの低血圧に伴う多彩な愁訴を改善して、日常生活をリズミ カルに過ごすことができるという意味合いを込めている。

参照:https://ds-pharma.jp/product/risumic/pdf/risumic_tab_interv.pdf

「日常生活をリズミカルに過ごして欲しい」から来た名前のようですね。

 

適応の起立性低血圧症とは?

 臥位(がい)(寝た状態)や座位から急に立ち上がった時に血圧が下がり、ふらつきやめまい、易(い)疲労感(疲れやすい)、動悸(どうき)、視野のかすみ、眼前暗黒感、時には失神などを伴う病気

参照:起立性低血圧症とはどんな病気か|症状や原因・治療 - gooヘルスケア

寝た状態や、座った状態から立ち上がった時に、主にめまい、ふらつきが発生する状態です。

朝起きた時に、めまい、ふらつきが何回も出現するようでしたら、起立性低血圧の可能性があるので、病院で診察を受けましょう。

 

 

エチレフレン(α,β受容体刺激薬)よりも低血圧に有用性がある

 

(3)本態性低血圧を対象とした二重盲検比較試験において、アメジニウムはエチレフリン塩酸塩よりも有意に高い有効性を示した。(リズミック臨床試験

(4)起立性低血圧を対象とした二重盲検比較試験の最終全般改善度において、アメジニウムはエチレフリン塩酸塩に優れる傾向を示し、有用性判定においては有意に優れた成績を示した。(リズミック臨床試験)

参照:雑薬学研究室〜メチルゾーン〜:アメジニウムの特徴

 

 

補足資料

 

添付文書:

http://www.nichiiko.co.jp/data2/00920/02_product_document/530169_2190022F1202_1_01.pdf

 

インタビューフォーム:

https://ds-pharma.jp/product/risumic/pdf/risumic_tab_interv.pdf

アンフェタミンのまめちしき

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覚せい剤である間接型アドレナリン作動薬のアンフェタミン

覚せい剤であるため、日本では、医療用として使用されません。

 

覚せい剤取締法により規制されているため、一般人の覚せい剤の所持はもちろん禁止です。

さらに、覚せい剤は、輸出、輸入、製造も禁止されています。

 

今回は、日本で使用が禁止されている、覚せい剤アンフェタミンに関するまめちしきをご紹介いたします。

 

基本的な作用・特徴

 

間接型アドレナリン作動作用。

耐性、精神的依存が生じやすく、薬物乱用に繋がっていきます。

 

神経終末に働き、ノルアドレナリンの遊離を促進させ、交感神経を興奮させる。

チラミン、メタンフェタミンと同様。

 

日本では、メタンフェタミンと共に覚せい剤取締法により規制されているため医療用としての使用はできません。

 

かしながら、アメリカなどの一部の国ではADHDナルコレプシーの治療薬として利用されるそうです。

 

昔は、滋養強壮薬として使用されていた

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戦前、戦時中にはヒロポン(メタンフェタミン)と同様に、

アゴチン(アンフェタミン)も疲れを取り去り、

不眠不休で働けるような効果をもたらす医薬品として一般的に流通していたようです。

参照:http://www.tanken.com/kakusei.html

 

覚せい剤覚醒剤)の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、現物及びその原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行うことを目的とする、日本の法律である(1条)。

参照:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/覚せい剤取締法

覚せい剤の対象は、アンフェタミンメタンフェタミンのみです。

 

エフェドリンは1885年(明治18年)に、長井長義が生薬であるマオウから単離抽出したそう。

それを元に1887年(明治20年)、ルーマニアの化学者ラザル・エデレアーヌがベルリン大学アンフェタミンを初めて合成しました。

参照:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/エフェドリン

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アンフェタミン#

 

チラミンと同じ作用だが、なぜアンフェタミン覚せい剤指定?

チラミンよりも中枢移行性が高い(脳にいきやすい)ため 、覚せい剤の指定を受けています。

 

補足資料

同じ薬効の薬:

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ミラベグロンのまめちしき

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頻尿や、尿意が強いときに使用されるβ3受容体刺激薬のミラベグロン。

薬学生、薬剤師の方なら、β1、β2受容体は聞き慣れていると思いますが、β3受容体は珍しいのではないでしょうか。

 

β3受容体は、排尿筋の弛緩や、脂肪分解に関与している受容体です。

そのβ3受容体を刺激するミラベグロンについて、ご紹介していきます。

 

基本的な薬効・適応

 

β3受容体刺激薬

 

膀胱平滑筋のβ3受容体を刺激し、膀胱を弛緩さえることで蓄尿機能を亢進する。

 

・過活動膀胱における尿意切迫感

・頻尿及び切迫性尿失禁

に使用されます。

 

ベタニス(ミラベグロン)は、世界初の日本が開発した薬剤

既存薬と作用機序が異なるヒトβ3 アドレナリン受容体作動薬ミラベグロン (一般名、日本での製品名:ベタニス®、欧米での製品名:ミラベトリック、ベットミガ)を OAB (過活動膀胱)治療剤として世界で初めて開発・商業化に成功させ、OAB 患者さんに新たな治療の選択肢を提供 することで、治療の質の向上、ひいては医療の発展に大きく貢献したことなどが高く評価されたも のです。

参照:2016年ニュースリリース|アステラス製薬

 

アステラス製薬のベタニス(ミラベグロン)は、世界で初めて開発に成功したそうです。

その功績を讃えられ、62 回(平成27年)大河内賞「大河内記念技術賞」受賞を果たした薬剤でもあります。 

※大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念して、財団法人大河内記念会(理事長:吉川弘之氏) が日本の生産工学や生産技術分野の卓越した業績を表彰する伝統と権威ある賞です。

 

ベタニスの名前の由来

Beta 3 agonist より命名した。

参照:http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/800126_2590014F1021_1_1F

β3受容体刺激薬の名前通りですね。

agonistは、受容体に結合し刺激作用を示す物質を表します。

 

補足資料

 

添付文書:

http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/800126_2590014F1021_1_10.pdf

 

インタビューフォーム:

http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/800126_2590014F1021_1_1Fwww.info.pmda.go.jp

チラミンのまめちしき

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チーズに多く含まれているチラミン。

医薬品ではないのですが、薬剤師国家試験に狙われる成分であるため、ご紹介致します。

  

基本的な作用、特徴

 

間接的アドレナリン作動作用

 

アミントランスポーターを介して神経終末に入り、交感神経節後繊維末端からノルアドレナリンを遊離させる。

 

結果的にノルアドレナリンの効果が出る。

 

チラミンは医薬品ではないので特に病気に対して使用することはありません。

  

反復投与でアドレナリンが枯渇する

短時間内に反復投与すると、チラミンの連続投与に対してノルアドレナリンの生合成が追いつかなくなり、神経終末から遊離できるノルアドレナリン分子が枯渇し作用が減弱する

参照:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/チラミン

 

薬剤師国家試験でも狙われるチラミンの反復投与によるノルアドレナリンの枯渇。

チラミンはノルアドレナリンを出す作用を増強するため、反復投与により、ノルアドレナリンが枯渇してしまいます。

 

この現象を、タキフィラキシーと呼ぶので、薬剤師国家試験受験者は抑えておきましょう。

 

また現実に反復投与はありないため、あくまで実験的な話のようです。

 

  

構造式のNH2が分解される

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体内で、上の構造のNH2アルデヒド基に酸化され、分解されます。

※代謝に関与する酵素はMAOB(モノアミンオキシダーゼ)といいます。

 

そのため、セレギリンなどのMAOB阻害薬を使用すると分解が遅延していきます。

 

片頭痛の誘発原因

チラミンは交感神経細胞の神経終末からのノルアドレナリンの遊離を促進する。このノルアドレナリンはアドレナリン受容体のα1サブタイプに作用するため、血管収縮作用(収縮作用消失から拡張への反転)があり、血圧を上昇させ、片頭痛発作の誘因となりえる。

参照:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/チラミン

チラミンにより、ノルアドレナリンが遊離していくため、頭の血管が収縮し、片頭痛が発生する誘因といわれています。

 

チラミンが多い食品は?

①チーズ

②レバー

③キムチ

チラミン含有量が多い順番となっています。

参照:http://s.news.mynavi.jp/c_cobs/news/menjoy/2013/01/3-128.html

前述した通り、チラミンは片頭痛の誘因になる可能性があります。

頭が痛いときには、ピザ、焼き肉(レバー、キムチ)の食べ過ぎ、何日も食べるようなことは避けた方がよいです。

 

他にもワイン、ピーナッツバターやチョコレートなどもチラミンを含むそうです。

 

いずれにしても食べ過ぎが良くないだけであるので、何事も、適量で食生活を送っていきましょう。