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フェニレフリンのまめちしき

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ショック時の注射や、点眼剤に使用されるα1受容体刺激薬のフェニレフレン。

 

局所麻酔薬の効果を高めるための注射剤としても使用されています。

点眼薬としては、主に散瞳を目的とした使い方のようです。

 

それでは、フェニレフレンのまめちしきをご紹介していきます。

 

基本的な薬効・適応

 

α1受容体刺激薬。

 

神経終末への取り込みがなく、COMT(カテコール-O-メチル転移酵素)による代謝を受けないため、末梢血管などに対して持続的で強力な血管収縮作用を示す 瞳孔散大筋収縮による散大作用を示す。

 

適応としては

  • 各種疾患もしくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療(注射)
  • 診療又は治療を目的とする散瞳(点眼)
  • 局所麻酔時の作用延長(注射)

 がある。

 

フェニレフレンとアセトアミノフェンの併用は注意

 論文の中ではフェニレフリンにアセトアミノフェンを混合服用した場合と、フェニレフリンのみ服用した場合について検討したところ、最高血中濃度は単剤の4倍、AUCは2倍に変化していた。

参照:http://jamasakura.seesaa.net/article/422355320.html

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc1313942

http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00228-015-1876-1

 

フェニレフレンとアセトアミノフェンの併用により、フェニレフレンの血中濃度が上昇するようです。この2剤の併用は注意ですね。

 

構造式からの特徴

アドレナリンのパラ位の水酸基を1つ抜いた形をとる。その結果、アドレナリンやノルアドレナリンと比べて心臓に対する作用が弱くなったが、強力な血管収縮作用を得た。

参照:ネオシネジンコーワ注 インタビューフォーム

http://www.kowa-souyaku.co.jp/upload/item/30/1-pi_082.pdf

 

この水酸基が抜けた事により、COMTによる代謝も受けないため、作用時間は長くなっています。さらに、心臓の作用が弱くなり、血管に対する作用が強くなったということは、β作用より、α作用優位になっていることを表しています。 

 

散瞳検査にも使用します

フェニレフレンは、眼球の内側の状態の検査薬としても使用されます。

参照:http://www.eonet.ne.jp/~matsumotoganka/mydri.htm

 

局所麻酔薬の作用延長目的でも使用される 

合成局所麻酔薬の多くは血管拡張作用を有するため、作用持続時間の短縮をきたす。そこで、局所での薬物吸収を阻止し、作用時間の延長と局所麻酔薬の吸収による副作用防止の目的のため、血管収縮薬であるフェニレフリン等が添加される。

参照:http://www-yaku.meijo-u.ac.jp/Research/Laboratory/chem_pharm/mhiramt/EText/Pharmacol/Pharm-II02-8.html

 局所麻酔薬の血管拡張作用に対し、血管収縮剤のフェニレフレンを使用するようです。

これにより、局所麻酔薬の作用時間が延長します。 

 

補足資料

 

添付文書:

http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1311702Q1036_1_08/

  

インタビューフォーム:

http://www.kowa-souyaku.co.jp/upload/item/30/1-pi_082.pdf