アドレナリンのまめちしき
主にアナフィラキシーのショック時に使用するα,β受容体刺激薬のアドレナリン。
ノルアドレナリンが体内で代謝されると、アドレナリンとなります。(ノルアドレナリンの「ノル」は、「前」という意味があります)
ノルアドレナリンの記事より、α作用、β作用の強さから、ノルアドレナリンよりアドレナリンの方が、適応が広い薬となっています。
それでは、アドレナリンのまめちしきをご紹介していきます。
α,β受容体刺激薬。
カテコールアミン類に分類。
薬理作用としては、刺激する受容体ごとに
α1(α1A、α1B、α1D) - 血管収縮、瞳孔散大、立毛、前立腺収縮などに関与する。
α2(α2A、α2B、α2C) - 血小板凝集、脂肪分解抑制のほか様々な神経系作用に関与する。
β1 - 心臓に主に存在し、心収縮力増大、子宮平滑筋弛緩、脂肪分解活性化に関与する。
β2 - 気管支や血管、また心臓のペースメーカ部位にも存在し、気管支平滑筋の拡張、血管平滑筋の拡張(筋肉と肝臓)、子宮の平滑筋等、各種平滑筋を弛緩させ、および糖代謝の活性化に関与する。
が存在する。
また、適応として
○気管支喘息・百日咳などに伴う気管支痙攣
○急性低血圧・ショック時の補助治療(アナフィラキシーショック時の筋注)
○局所麻酔時の作用延長
○インスリン低血糖時の改善
○心停止の補助治療
などがある。
商品としては、エピスタ、ボスミン、エピペンなどがある。
ニュージャージーの研究所にいた高峰譲吉と助手の上中啓三は1900年にウシの副腎からアドレナリンを発見し、1901年に世界で初めて結晶化に成功した。
参照: https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アドレナリン
昔の日本では、アドレナリンは英名のエピネフリンと呼ばれていたが、
発見者が日本人であることに準じてアドレナリンという名前を用いるようになったらしい。
「まぁ落ち着け」と言われても、落ち着けるまでには約40秒以上かかる。神経系ならば、そのインパルスを出すことを止めればよいが、物質であるホルモンはすぐには分解されない。アドレナリンなどのカテコールアミン類が血中に出てからの寿命は比較的短いが、それでも半減期は約40秒だと言わている。(ちなみに、甲状腺ホルモンの血中での寿命はおよそ1週間とされている。)
ノルアドレナリンと同様に、アドレナリンも怒りの感情に関与している。
アドレナリンの消失半減期は約40秒のため、ヒトを怒らせてしまったら、
まず40秒以上は我慢したほうが良いかもしれない。
アドレナリン反転(あどれなりんはんてん、英:adrenaline reversal)は、α1受容体拮抗薬投与後にアドレナリンを静脈内注射するとアドレナリンの血圧上昇作用が血圧下降作用に反転する現象。
参照: https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アドレナリン反転
薬剤師国家試験でも問題として出題される「アドレナリンの血圧反転」
血管において、α1受容体は血管収縮、β2受容体は血管拡張に関与する。
アドレナリンを通常投与すると、血管収縮作用(血圧上昇)が発現する。
※血管には、α1受容体の存在が多く、α1受容体刺激作用の血管収縮が強くでる。
通常投与前に、α1受容体遮断薬を投与すると、β2受容体が優位に刺激され、血管拡張(血圧低下)の作用が発現する。
エピペン注射液
添付文書:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00050569.pdf
インタビューフォーム:
http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/2/671450_2451402G2020_2_1F
同じα,β受容体刺激薬について: