サルメテロールのまめちしき
喘息の吸入薬ではアドエアがよく知られていますが、今回はそれに含まれるサルメテロールについて紹介していきます。
アドレナリンβ2受容体を選択的に刺激することによって気管支の拡張を促します。
約12時間と長い時間作用するという長所を持っていて、喘息治療では発作予防のコントローラーとして使用されます。
短時間作用性β2刺激剤であるサルブタモールの作用持続時間が4-6時間なのに対して、サルメテロールはおよそ12時間持続する。ただし、サルメテロールは吸入から効果発現までに時間がかかる。
参照:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/サルメテロール
作用が長いのでコントローラーとして使用するようです。
しかし、作用発現までの時間が長いためにリリーバー(発作改善)としての使用には向かないようですね。
アメリカのFDA(米国食品医薬品局)の発表では、サルメテロールが重症の喘息悪化及び喘息関連死に関連があると発表しており、2006年に発表されたアメリカでの調査によれば、7ヶ月間の喘息関連死のリスクは、サルメテロール使用群では1万3000人中13人に対し、プラセボ(偽薬)群では1万3000人中3人であったことが報告されています。
似たβ2刺激薬
セレベント
添付文書:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00050072.pdf
インタビューフォーム:http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/340278_2259708G1022_1_010_1F
ドパミンのまめちしき
急性循環不全のショック時に使用する、混合型アドレナリン作動薬のドパミン。
ノルアドレナリンの前駆物質である内因性のカテコールアミンです。
快感が得られるホルモンとして知っている方が多いのではないでしょうか。
作用は用量によって異なります。
- 少量⇒腎血管のD₁受容体に作用して血管拡張作用を示す
- 中等量⇒心臓のβ₁受容体を刺激して心拍出量増加
- 大量⇒α₁優位となり、血管収縮を起こす
急性循環不全(心原性ショック、出血性ショック)に対して適応があります。
黒質は大脳基底核の構成要素の一つで線条体にドパミンを送ることで興奮を抑制させる。線条体は運動機能や意思決定に関わる。
参照:大脳基底核のおはなし | 線条体 | 淡蒼球 | 視床下核 | 黒質 |前脳基底部 | マイネルト基底核 | 中隔核 | ブローカ対角束核 | ブローカ対角帯水平亜核 - Akira Magazine
好きな人を前にしたときドパミンがドパドパ出ます。
人が何かをしようと思ってワクワクしているときに放出されるようです。
このドパミンが減ってしまうと、相対的にアセチルコリンが増えて、パーキンソン病。
逆に増えてしまうと、統合失調症となってしまいます。
インタビューフォーム
http://www.mochida.co.jp/dis/interview/dop-k_n10.pdf
添付文書
*ドパミン塩酸塩点滴静注液50mg「タイヨー」/ドパミン塩酸塩点滴静注液100mg「タイヨー」/*ドパミン塩酸塩点滴静注液200mg「タイヨー」
メチルエフェドリンのまめちしき
主に気管支喘息に使用される混合型アドレナリン作動薬の
メチルエフェドリン。
同効薬にエフェドリンがあります。
エフェドリンとの違いは何でしょうか?
エフェドリンのアミノ基に
さらに1個のメチル基が入ったものがメチルエフェドリンで、エフェドリンに比べてβ2作用(気管支拡張作用)は強いが、他の作用は弱いため、中枢興奮、昇圧、散瞳等の副作用が少ない。
混合型アドレナリン作動薬
①α、β両作用を示す。
α作用(血管収縮など):NAdの遊離を介する関接作用。
β2作用(気管支拡張など):β2受容体に対する直接作用。
③COMTやMAOで分解されないため経口投与可能である。
適応症は気管支喘息、低血圧など。
1984年のロサンゼルス・オリンピックの時のこと、
日本男子バレーボールの選手が風邪を引き、トレーナーから渡された葛根湯を服用して出場し、試合後に行われたドーピング検査で、興奮剤が検出された事がありました。
参照:
市販の風邪薬に含まれていることもありますので、
スポーツの公式大会を控えている方は特に注意が必要ですね。
添付文書:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00050514.pdf
インタビューフォーム:http://www.fuso-pharm.co.jp/cnt/seihin/parts/015/015_i.pdf
サルブタモールのまめちしき
喘息の息苦しさに対して、使われるアドレナリンβ2受容体刺激薬です。
小児喘息だった人は良く使った薬かもしれませんね。
本剤は、経口薬で、気管支喘息の長期管理に使用します。
β刺激薬はドーピング対象となるものが非常に多いので注意しながら見ていきましょう。本剤はドーピング対象かどうかも紹介していきます。
第二世代のアドレナリンβ2刺激薬です。
気管支のβ2受容体に作用して、気管支を拡張することで喘息の気管支閉塞による症状の緩解。
深呼吸しながら吸入器を用いて吸入します。
そのほか、肺気腫、急・慢性気管支炎、肺 結核の際にも用いられます。
ベータ 2 作用薬 すべてのベータ 2 作用薬は、関連するすべての光学異性体(例えば、d 体および l 体)を含めて禁止される。
参照:
http://www.playtruejapan.org/downloads/prohabited_list/2016_ProhibitedList_JP_revised20160108.pdf
サルブタモールはドーピングとはならないので、他の使用可能なβ2刺激薬を含め、しっかりと用法・用量を守って使うことが大切ですね。
補足資料
添付文書:
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340278_2254700G2034_1_05.pdf
IF:
フェノテロールのまめちしき
喘息の発作のときに使用するβ2受容体刺激薬のフェノテロール。
短時間で作用するため、発作時に使える薬となっています。
それでは、フェノテロールのまめちしきを紹介していきます。
短時間作用型アドレナリンβ2刺激薬
吸入し、肺に届くとアドレナリンβ2受容体を刺激し、気管支平滑筋を拡張(弛緩)させる。
適応としては
・喘息
がある。
商品名としては、ベロテックが使われている。
喘息の薬、皆さんは苦しくなった時に吸入器でシュッと吸引するイメージがあると思います。
ただ、喘息の薬には種類があるのです。
・短期間のあいだ効く薬
(短時間作用性吸入β2刺激薬 Short Acting β2 Agonist (SABA))
・長期間のあいだ効く薬
(長期間作用性吸入β2刺激薬 Long Acting β2 Agonist (LABA))
この2種類です。
短時間作用のSABAの場合、発作が起きた時にシュッと吸入します。
長時間作用のLABAの場合、発作を未然に防ぐために定期的に吸引します。
ニュージーランドでは1990年代前半までフェノテロールが広く使われていたが、本薬が喘息死の第二の流行の要因であるという証拠に応えて、ニュージーランド厚生省は使用を厳しく制限した。その後ニュージーランドでは喘息の悪化が著しく減少したため、喘息死の流行はフェノテロールが原因だったとする主張がある。ただし、同じデータを再分析した結果、喘息悪化の減少はフェノテロールではなく、吸入副腎皮質ステロイド剤の使用の増加と強く関連している、という反論がある。
海外では、β2受容体刺激薬の使用に関しては制限がある国もあるそうです。
しかし、ニュージーランドでは、この喘息悪化の現象はフェノテロールでなく、副腎皮質ステロイドの影響ではないかという議論もあるようです。
薬は、人種、食文化なども影響していくので、国により使用方法は異なっていきます。
インタビューフォーム
添付文書
エフェドリンのまめちしき
主に気管支喘息に使用される混合型アドレナリン作動薬のエフェドリン。
風邪薬や漢方薬にも含まれています。
そんなエフェドリンについてどのような特徴があるのでしょうか。
今から紹介していきます。
混合型アドレナリン作動薬
直接α,β受容体を刺激する作用と、神経終末からアドレナリンを遊離する作用を示します。
①α、β両作用を示す。
α作用(血管収縮など):NAdの遊離を介する関接作用。
β2作用(気管支拡張など):β2受容体に対する直接作用。
③COMTやMAOで分解されないため経口投与可能である。
適応症は気管支喘息、低血圧など。
漢方薬や風邪薬でスポーツ選手がドーピング反応で陽性になるというお話を聞いたことはありませんか?それは生薬“麻黄”の成分、“エフェドリン”の影響です。
参照:
薬によっては意図せずにドーピング検査陽性になってしまうものもあります。
気になる方はスポーツファーマシストに相談してみてください。
長井はマオウから一つのアルカロイドを単離し、エフェドリン(Ephedrine)と命名した。長井は「エフェドリンの発見」で天然物化学史に名を残すとにはなった。
エフェドリンは日本人の長井長義氏が世界で初めて発見された成分です。
さらに、エフェドリンからメタンフェタミンを合成したのも長井長義氏であり、日本の誇る優秀な研究者の1人となっています。
添付文書:
http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00049109.pdf
インタビューフォーム:
http://www.nichiiko.co.jp/data2/55170/04_interview/ephedrinNAG_i40-if02(2).pdf
クレンブテロールのまめちしき
喘息に使われるβ2受容体刺激薬のクレンブテロール。
実は筋肉増量剤としてボディビルダーの業界の中では有名な薬のようです。
今回はそんなクレンブテロールについて豆知識を紹介していきます。
アドレナリンβ2受容体刺激薬。
気管支拡張作用があります。
他のβ2刺激薬に比べて長時間にわたって効果を発揮するため、長期管理薬(コントローラー)として使われます。
また、排尿筋弛緩作用もあるため腹圧尿失禁にも使われます。
商品名としては、スピロペントがあります。
適応としては
・腹圧尿失禁
があります。
クレンブテロールは主にボディビルダー達の間では知られる存在です。 クレンブテロールは「筋肉を残しながら体脂肪を減らしたい」「筋肉肥大と脂肪減少を両立」などの目的で利用するのだとか。
日本では処方箋医薬品ですし、ドーピングの対象薬であるので注意が必要ですね。
海外の例では、豚肉の肉質を変えるためにクレンブテロールを使うことがあります。参照:http://clenbuterol.xyz
中国では、豚にクレンブテロールを飲用させ、筋肉増強作用を利用し、豚の赤身を増やしていたそうです。
これによって中国では豚肉のクレンブテロール汚染事件に発展し、警察に捕まったケースも。
スピロペント
添付文書:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00057667.pdf
インタビューフォーム:http://medical.teijin-pharma.co.jp/iyaku/product/skhk4v0000000qzj-att/skhk4v0000000qzu.pdf